「鋼の錬金術師」の世界観が描く社会像
「鋼の錬金術師」は、フルメタル・パニック！という小説を原作として、2003年に放送されたアニメで、そのストーリーを描くのは、鋼の錬金術師というタイトルの通り、錬金術を題材としている。本作が描くのは、錬金術師という職業があるという全く新しい世界観だ。そして、その世界観が描くのは、かなり複雑な社会像である。
本作の主人公、エドワード・エルリックは、鋼（金属）に魂を宿して、それを自在に操る鋼の錬金術師である。錬金術を習得するためには、職業を継ぐ以外にも、資金力も同等に重要である。そのため、鋼の錬金術師を継ぐことが多くの少年少女の願望となり、豊かな家庭から出ている子どもたちを中心に錬金術師を目指す者が多く生まれるようになる。しかし、その職業には著しい格差があり、豊かな家庭の子どもたちにのみ教えられる錬金術が、貧しい家庭の子どもたちにはない。そのような格差があるため、貧しい家庭の子どもたちは、豊かな家庭の子どもたちと並ぶために、様々な手段を使って鋼の錬金術師を習得することを強いられることもある。
また、鋼の錬金術師には、豊かな家庭の子どものみならず、貧しい家庭の子どもたちが就活活動を行っているという描写もある。そのため、貧しい家庭の子どもたちが自分の能力を活かして鋼の錬金術師としてキャリアを積むことが可能となり、社会的格差がなくなる可能性もある。
本作は、鋼の錬金術師という新しい職業が存在するという新しい世界観を描きながら、社会的格差が生まれる可能性を描いている。そして、貧しい家庭の子どもたちが能力を活かして、豊かな家庭の子どもたちと並ぶ可能性について描いている。この作品は、鋼の錬金術師を通して、多様な価値観を持つ社会として、自分の努力だけで成功する可能性を示している。
